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サロン21

「英国の議会制度について」

〔1〕4月は、鳥海博さんの御紹介による安田茂氏にゲストとしてお越しいただきました。伝統を誇る英国議会が、BREXITに際して国家としての意思決定に苦しんでいる現状を詳しくご説明いただきました。

 また、グローバリズムとナショナリズム、更には中国の専制国家資本主義との抜き差しならない対立などについても詳細を語っていただき、そんな国際環境の中で日本も立ち位置をはっきり定めて行く重要性を指摘されました。

〔2〕引き続き、出席者9名から以下のような意見が出されました。

  • 英国の議会政治にはロック、ヒューム、アダム・スミスという歴史的思想家の影響が色濃く残っている。
  • 日本人の行動様式における、曖昧性、柔軟性、現実肯定にはヒュームの思想との類似性が見て取れる。
  • 日本と英国は島国としての共通点もあれば、相違点もある。大陸との距離の違い、侵略の有無(主に英国)、自然災害の有無(主に日本)などが主な相違点である。

  • EUはBREXITの期限を10月末まで延期することに同意した。しかし、そのEUの議定書を英国議会が承認するかは、依然としてめどが立っていない。
  • 5月23日には5年に一度の欧州議会選挙がある。それまでに英国議会がこれを承認しないと、英国はEU議会選挙に参加する義務が生じる。そうなれば事態を一層複雑にする。
  • 英国内では国民投票の再実施案も出ている。EUは期限を延長することで、英国の離脱翻意を狙っているのではないか。

  • 英国の国民投票は2%の差で黒白をつけてしまって、しこりを残している。国民投票実施の是非、その際のルールの取り決めなどに禍根を残したのではないか。
  • しかし、再実施や離脱回避となれば、英国議会の国内外における権威は地に落ちるのではないか。

  • 日本の現憲法は頭のない憲法だ。元首がはっきり規定されていないし、主語のない条文も多い。

  • 米国は、2001年に中国に資本自由化を免除したままWTO入りを許可した。この特別措置を利して中国は急激に外貨を稼ぎ、今日の脅威となった。
  • 米国は中国包囲網を敷くが、中国は米国の要求をまともに受ければ一党独裁体制維持の本丸の毀損に繋がるリスクがあるので時間稼ぎ策に出ている。
  • 米中が対立する中で、日本はどちらにつくのか、立ち位置を鮮明にすべきだ。

  • 中国は、日本に微笑外交をしかけてきている。天安門事件の後に天皇訪中で、中共の国際的孤立に助け船を出したが、今また同じ状況になっている。
  • 中国は法律、宣伝、心理のいわゆる三戦に留まらず、超限戦を公言している。戦いに勝つためなら、何でもありの国だという認識を持つべきだ。
  • 2010年制定の国防動員法、2017年制定の国家情報法もその一部で、これらの法律は日本に滞在する百万人近くの中国人にも有事の際には適用されるという条文もある。このような国内法を持つ共産党中国に「日中友好」と言われることが何を意味するか、これで相手に気を許すことがどんなに危険であるかと言うことは自明であろう。

  • 中国は浸透が得意。

  • 北海道の土地の一割は中国に買われたといわれている。
  • 山梨や静岡の水源を買われ、水は無償で中国に輸出されている。
  • 憲法29条、財産権の条文には主語がないのは問題である。外国人でも永住すれば、財産権を主張する可能性が出てくる。

  • 日本は戦後、国家を軽んじる教育をしてきているが、民衆の生命、財産を守るのは国家であるという基本理念の教育を怠るべきではない。

  • 国連を始めとする国際組織にはスタートから3/4世紀が経って、時代の発展と変革の中で現実に対する対応能力に問題が多くなってきており、具体性がなく、機能しないものが多くなっているのではないか。

  • 私は、英雄待望論である。日本にもチャーチルやゴルバチョフのような礼儀正しく、教養があり、実行力もあるリーダーが出てほしい。
  • 明日の日本を語れる真のリーダーたる政治家が必要。

  • アングロサクソンや中国人はずるいが優秀。特に中国には漢籍の影響もあり親近感を持っていたが、最近の動きから、中国に侵略される危惧を覚える。

  • 中国の砂漠化は進んでおり、北京の100km まで迫っていると聞く。緑豊かな日本は、安心安全で、しかも警戒が薄い。中国にとっては絶好の浸透、侵略ターゲットだ。
  • 戦後70年、日本もしっかりと安全保障を考えるべき時期に至った。
  • 令和の時代は安全保障をしっかり考えて行くべきだ。先ずは、外国人による土地取得の制限対策を急ぎ講じるべきである。

 また、安田さんとの質疑応答を通じての安田さんの御意見は下記の通りです。

  • 2016年のキャメロン政権下の英国の国民投票は2%の僅差でBrexit派が勝利した。現在のメイ首相の議会対策の混迷はこの僅差をBrexit の民意としてスタートしたそのことに因が在るのではないか。振り返れば国民投票実施のタイミング、ルールの取り決めの不備、離脱した場合の損得の予測等々についての国民への情報開示が充分ではなかったこともさらに混迷を深くしているようだ。

  • 日本の現憲法は頭のない憲法だ。元首がはっきり規定されていないし、主語のない条文も多い。前文の「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」という表現は「我々日本人の生存と安全の保持は信頼する君たち隣国任せ」と言っているのと同じで主権国家の最高法規としては主体的な意志を欠いていて、全く欠陥文書である。別添文書で参照したドイツ基本法、米国憲法の簡明にして堂々とした前文と比較していただきたい。主権国家として憲法改正は喫緊の最重要政治課題である。

  • 日本は戦後、国家を軽んじる教育をしてきているが、民衆の生命、財産を守るのは国家であるという基本理念の教育を怠るべきではない。「国家」はもともと国民の安全と幸福のために国民が求めた結果として歴史的な発展を経て存在するものであり国民が選んだ統治者と共に創り、契約によって国民の安全の履行を国民に約束させている存在である。・日本の歴史に誇りを持てる教育をすべきである。

  • 国連を始めとする国際組織にはスタートから3/4世紀が立って、時代の発展と変革の中で現実に対する対応能力に問題が多くなってきており、具体性がなく、機能しないものが多くなっているのではないか。

  • 米中が対立する中で、日本はどちらにつくのか、立ち位置を鮮明にすべきだ。現時点では強固な日米安保もあり自由民主主義体制側の立ち位置であることは明確であるが、中国は米国との深い経済対立による経済の深刻な下振れ要因を日本を囲い込むことで以下のような一挙両得のメリットを得ようとしていることを忘れてはならない。それは
     1.)日米を分断し、安全保障上日本を孤立させること。
     2.)ハイテク技術の投資を強要し(これには要望に乗らなければ先に尖閣諸島の国有化の時に行ったような、レアメタルの対日輸出禁止の様なえげつない脅しをちらつかせながら交渉して来ることは覚悟しなければならない。すでにHuaweiに対する差別政策はやめるべしと注文を付けてきたようであるが、これにも今後、実効あるまで厳しい対抗策を具体的に出してくる可能性ありと観なければならない。 )
     3.)一帯一路、AIIBへの日本の実質的協力は彼らのもっとも強く要望している所であり、今後、手を変え品を変えて日本を引きずり込もうとしてくることは目に見えている。この2.と3.の誘いに軽々に深入りすれば、1.の日米分断に日本が自ら手を貸すことになるということを覚悟しなければならない。日本外交で対中交渉に関しては、特にこの立ち位置でぶれない様に強くお願いしたいものである。それには相当の勇気と胆力が求められようが、それこそが今後の日本の経済の発展と日本国民の安全保障にとって最も重要なことであり絶対に必要なことである。憲法に言う隣国の公正と信義が残念ながら信頼できる状況にはないのである。日本はしっかりと現実を見て対策も怠りなくやるべきである。これこそがヒュームの現実主義、コモンセンスである。普段は曖昧でも肝心な時には、正しい判断力を示す能力は実は不断の「懐疑力」にあり常に弾力的であり、「観念論」の様に静止しないのである。

  • 中国は浸透が得意。目的をもって土地を選び静かに移民を送り込む。潜伏期間を経て、永住権を得、さらに日本国籍を得て、選挙権を手に入れ、地方選挙から国政まで、当選すれば大きな声で日本の憲法12条や29条に認める自由と権利を中国の為に主張し始める可能性は、今の政府の平和ボケ政策を考えると、近い将来絶無とは言えないのである。そのようになってから主張されて気が付いてもtoo lateである。日本の法律が将来彼らの手によって彼らに有利なように変えられるような事態は絶対に阻止しなければならない。そのような状態は国体の崩壊に他ならないからである。

  • 現在日本には大正時代に立法された「外国人土地法」と言う法律があるがこの法律は現在の外国人による土地取得を抑止する役目は全く果たしていない。この法律によれば「外国人による土地所有は、相互主義による。」と原則だけは規定しているが法の運用は「政令による」としており戦後、同法関連の政令が発布されたことはない。外国人による土地取得は各国とも厳しく管理しており中国は勿論インドネシヤやフィリッピンの様に100%禁止と言う国も多く、世界で許可している国も取得制限は多く課せられ、その管理にも使用目的の制限を含めて厳しくチェックし制限している国が多い。アジア太平洋地域で不動産投資に外資規制が皆無なのは日本だけと言われているのが現状である。現在中国人による北海道や本州各地に水源を求めたり、都市の重要な拠点に土地を求めるというケースが多くなっているが、その目的がはっきりしないまま広大な土地が囲い込まれて中がどうなっているのかはっきりしないという不気味な場所が結構多いと聞く。現実がこのような事態になっている以上、日本も外国人による土地取得を制限するための新しい立法の必要性は喫緊の問題である。

 然しなぜこの立法が遅れているのだろうか?そこにはいろいろ原因はありそうだがまず言える事は
 1).既に中国を始めとして韓国などから土地に対する外資規制をさせない様な働きかけが多方面において例えば国会議員や学者、地方議員に対して常に波状的に行われており、立法の芽が常に刈り取られているという現実。つまり日本を草刈り場にできる現状を継続させ、その間にやりたい放題をやるという恐ろしい意志が陰で働いているという事。
 2.).廃藩置県以来の日本の土地の登記システムの曖昧性から現在日本国で所有者不明、或いは山岳地帯、米作地帯での水利権に関しての「入会権」にも関連して境界がはっきりしていない土地面積が九州程の面積で存在するという話を数年前の国会討論で聞いたことがあるが、このような状態は外国人による日本の土地取得を秘かに行う事も容易にすることが考えられ誠に寒心の至りである。対策は喫緊の重要事案である。
 3)不動産に対する外資規制を新しい法律で導入するとなるとWTOに対して新しい外資規制の説明、了解を得る必要がありこの点もしっかりした戦略が必要である。等々が挙げられよう。しかしこうしてみると一番の問題は憲法改正と同じように、日本の国民、政治、学者、マスコミのすべてにおいて危機意識が希薄であることにあるのではないか。まったく寒心の至りである。


  • 憲法29条、財産権の条文には主語がないのは問題である。つまり「日本人の財産権」と限定していないため永住する中国人にも権利が認められる可能性がある。仮に将来外資による土地取得規制の法律が成立した場合、すでに安全保障上都合の悪い立地条件の土地をすでに中国人が取得していたとする。これをアメリカであればエクソンフロリオ条項の様に土地でも株でも外国人による所有権を安全保障上の理由で問題ありとすれば議会関連委員会の上申により大統領がこれを無効にすることができることに倣って、日本が新法に類似の条文を設け、(日本の新法には当然この様な条文も考えられる)その執行により当該中国人が日本の土地の所有権を失った場合、その中国人はこの憲法第29条に基づいて「財産権の保全の権利」に訴え、法執行無効の訴訟を起こすことが考えられるからである。

  • 中国には漢籍などの影響から親近感を持つ日本人が多いが、一党独裁の専制国家であるという事実は厳然としており、その人権無視のやり方は自国民の中国人に対しても反共産党であれば遺憾なく発揮されていることは勿論、チベットや新疆、内モンゴル等の他民族に対する人権無視は過酷そのものである。
    その過酷さはその地域の言語、文化の抹殺に始まり女性に対する不妊手術の強制等による民族浄化の残酷な政策の数々は、もし習近平の中華の夢が将来日本列島を覆う事を想像した場合、身の毛がよだつ思いを禁じ得ない。
    彼らの100年200年の長期戦略を考えると、我々は今この時点からしっかり相手を見て、その真意を理解した上でなければ軽々に友好を叫ぶことは出来ないと考えるものです。
    「彼を知り己を知れば百戦危うからず」を今から実践するべきと考えます。日本人は中国人を知らなさすぎます。

 この日本の領土で気が付いたら日本人の仮面をかぶった中国人が国会議員にたむろして、大声でわめき、たいていの法案は彼らの言う通りに作られているというような悪夢は絶対に見たくないのである。

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