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『武士道』新渡戸稲造

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本の紹介

 作者新渡戸稲造は1862年生まれ。若くして渡米、かの地で米国女性と結婚、学問の道に進んだ。
 本書は1900年、米国にて英語で刊行、自分自身の言葉で記述している。米国の知人達から、欧米はキリスト教の精神的伝統があるが、日本ではいかがか?」との質問・疑問に応えるべく著したという。

読後感想・議論

議論1.なぜ武士道に行きついたのか

  • 騎士道と比べたかったか?
  • 神仏儒では包括できない、説明しきれないと思ったか?
  • 武士道という言葉はいつから?
    • おそらく江戸時代。忠義の観念は中世にはない。江戸期に朱子学がはやり、その影響が強いだろう。
    • 戦が終わり、武家の生き方がより精神的なものに変質した江戸期からだろう。

議論2.武士道と近代以後の関係

  • ある章で「克己」がある。悲しみや喜びなどの感情を人前では控える教えだが、昨年当会で読んだ芥川の「手巾」はまさにこれ。あの作品の主人公は新渡戸だね、芥川はかなり嫌味に書いているね。
  • 謙虚さや礼儀正しさを良しとする教えは現代にも残っているね。
  • そういえば、ジョン万次郎ら漂流民もその謙虚さが該地で評価されている。
    武士とは無関係な日本人の特質なのだろう。
  • 単純知識より行動を伴うこと、というのは今の政治家も重視している。

議論3.女性像

  • 女性の地位、女性観は、この文章だけでは西洋人に分かりづらかろう。
    家制度やそれまでの伝統、経緯を説明しないとね。
  • 武家の女と庶民の女の区別が面白かった。

その他、章ごとに色々の感想が出たが、全体としては読後の印象が薄いとの声。

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