作品の閲覧

何でも読もう会

『死者の書』折口信夫

全員

本の紹介

民俗学者として、また詩人・歌人(釈迢空)としても有名な作者の幻想小説。初出は1939年(昭14年)。
奈良県当麻寺に伝わる当麻曼荼羅及び中将姫伝説をベースにしている。非業の死を遂げた大津皇子と藤原南家郎女が幻想の世界で合わさるまでの場面を詩情豊かに謳いあげている。藤原不比等以下藤原草創期の人々や大伴家持など実在の人物も配して、幻想小説と知りつつもリアルな雰囲気が漂う。

  • 出席者が自主的に、古代大和の地図や王家・藤原家の系図などを用意してくれたので理解が容易になった。
  • 初版本と比し、その後の章立てが異なっていることを発見したメンバーも。
読後感想・議論
  • ストーリーテラーではない。中将姫に大津皇子を組合せ、古い日本文化の良さを著した。馥郁(ふくいく)と香り立つ感性の文学。
  • 描写力が豊か。メインパートのみならず時代、背景の描写もよい。
  • 万葉集を下敷きにしている部分も多く、古代の伝統を総動員。
  • 前半で読んだ『深い河』よりもこの方が日本人の宗教観に合いそうだ。
  • 藤原仲麻呂と大伴家持の会話の場面は意味がうすいと思った。
  • 郎女の奈良時代と阿弥陀信仰は本当?
  • →阿弥陀信仰は一般に平安末期からといわれるが、奈良朝にも阿弥陀信仰はある。
    この小説は、日想観(落日を見て極楽浄土を心にとどめる修行)が現れている。
  • 「当麻の氏」の語部である媼がすばらしい。

など、ストーリーを追わずに銘々の感想を出し合った。
詩人・歌人でもある作者の小説だけあって、言葉の余韻が多々残った。

作品の一覧へ戻る

作品の閲覧