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エッセイ・コラム

台風に強い町づくり

松浦 俊博

 まず水害については、河川近くの一戸建ては本当に弱い。高層マンションなら基礎も強いし、その一階には人は住まないので浸水による犠牲者をなくせる。河川近くの住居を高層マンション化するように都市計画を進めてほしい。同時に一階には人が住まないように規則化しておきたい。また、ニュースの映像に、ビル一階にあるコンビニの商品が水浸しになるのを、店の人が呆然と見ている様子が映っていた。商品棚を天井裏の梁から吊り上げられれば被害は低減できたはずだ。防災は自分で考えて行動するのが基本だろう。今後は、そういう工夫をしておいてほしい。

 次に停電については、千葉県で送電線が大被害を受けて広域停電が長く続いた。電柱が倒れ、電線が倒木に引きずられた。送電線を地下に埋設する工事は都市部で進められており、私の家の前の電柱も数年前になくなった。それで万全ではなく、最終目標は送電線を無くすことだ。電力の地産地消である。地域ごとにピカチュウを飼って、彼らから電気をもらえば手軽だが、ピカチュウ電源は10万ボルトなので家庭用に電圧を下げるのも大変だ。
 集中電源に依存しすぎたインフラ構造を、分散電源依存にシフトする必要があるのは明らかだ。人があまり住んでいないところに長い送電線を引くのは無駄なだけでなく、災害時のリスクも高い。既に燃料電池を使った自立型再エネ水素発電設備が販売されており、そのコンパクト化と低コスト化も急速に進んでいる。今後はその配備を推進していくことになるだろう。電力の確保を電力会社に委ねる時代は終わった。今は、確保する手段を自分で考える時代だ。
 高層マンション地下の電源設備が水浸しになり、マンションが停電してエレベータが使えなくなったケースもある。発電所の水害事故経験が生かされていない残念な事例だ。電源装置は二階より上に置くべきだし、屋上に置くことも可能だろう。

 やるべきことが多すぎるかもしれないが、方向さえしっかり決めれば10年後には台風に強い町に変わっていくだろう。国に全面頼っていてると、ひどい目に合うのは自分だ。日本人としての高い知恵の見せ所だ。

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