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エッセイ・コラム

ローカル線普通列車の旅② ~旅程~

斉藤 征雄

 まず今回の旅程の概要から。

【一日目】
 新宿=(中央線)=八王子=(八高線)=高崎=(上越線)=越後湯沢(中里)

<越後中里泊り>

【二日目】
 越後湯沢=(ほくほく線)=十日町=(飯山線)=長野=(しなの鉄道)=小諸

<小諸泊り>

【三日目】
 小諸=(小海線)=小淵沢=(中央線)=甲府=(身延線)=富士=(東海道線)
 =東京(品川)

 私にとっては、八高線、飯山線、小海線、身延線は初めての体験である。全旅程750kmを特急・急行を使わずすべて普通列車で移動する計画である。
 切符は「青春18きっぷ」。但し、ほくほく線としなの鉄道は第三セクターのため使えないので、二日目だけは通常切符にせざるを得なかった。このあたりのことは鉄道マニアのN氏に任せればお手のモノで、極めて心強い。

 内田百閒によれば観光とは用事を済ませることであり、目的をもたない『阿房列車』旅の基準から外れるらしいが、我々はそれほど厳密ではないので少しだけ観光も織り込んだ。

【一日目】
 高麗神社(八高線・高麗川駅)、利根川遊歩道散策(上越線・水上駅)

【二日目】
 三国街道牧之通り、鈴木牧之記念館(上越線・塩沢駅)、
 小諸城址・懐古園(しなの鉄道・小諸駅)

【三日目】
 (時間的に余裕なく、観光なしの終日列車旅)

 新宿集合は朝8時。あいにくの小雨模様であった。四人の持ち物はと見れば、

私  :三十年前、娘が中学生の時に使っていた古びたリュック。(旅程係担当)

S氏 :今日のために新調した真っさらのリュック。独自に工夫して作成した記入板付き会計集計表が入っている。(会計係担当)

M女史:定価4700円を店員が値札を見間違えて1700円で買ったというハイカラなリュック。それに酒のつまみを入れた大きな紙袋。おまけに長傘持参。(調達係担当)

N氏 :普通のリュック、プラスサイドバッグ。中に地図、時刻表、その他鉄道関係資料がぎっしりと詰め込まれている。首から一眼レフのカメラ。(切符係担当)

 私は家が近いこともあり早めに行こうと思い集合時刻30分前に到着すると、すでにN氏が待っていた。ほどなくS氏、M女史も到着して全員集合。皆さん、はやる気持ちを抑えかねているようだ。20分ほど予定を早めて新宿駅を出発した。

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