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エッセイ・コラム

マラソン代表選考新方針

松谷 隆

 2年前の大阪国際女子マラソンで、派遣基準記録突破で優勝の福士選手が、「日本陸連からリオ派遣の確約がない」として、3月の名古屋のレースに出場するという報道があった。
 これは陸連の代表選考基準が明確でなく、選考対象大会も一本化されていなかったためだ。リオでのマラソンの結果は男女とも無残で、世界との差は開くばかり。前途多難としか思えなかった。
 陸連は11月に東京大会に向け「マラソン強化戦略プロジェクトティーム」を作り、大学時代からマラソンで活躍した瀬古利彦氏がリーダに就任した。これで陸連が変わるのではと期待した。
 昨年8月に第一弾として「東京大会マラソン代表選考方針」を発表した。代表選考レースへの出場基準が明確になった。19年9月以降開催のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)で、男女上位2名を代表に選出、残り1名は19年11月から翌3月までのレース結果で選出するというもの。
 なおMGCへの出場資格は、17~8年度の男子の北海道(1)、福岡(3)、別府(1)、東京、琵琶湖、女子の北海道(1)、さいたま、大阪(2)、名古屋の各レースで設定時間と順位を突破すること、並びに国際陸連が認定するレースで陸連設定の条件を満たすこと(ワイルドカード、男1)である。

 この新方針は評価に値する。それは陸連主体の選考会が実現するからだ。また選手にとっても、基準タイムが示されているため、自分の体調に合わせ、出場できるレースを選べるのは大きなメリットに違いない。また指定レースへの出場回数の制限もないのがよい。
 さらに、従来、選考対象レースで、初マラソン・初優勝の選手が代表に選考されていた。が、結果は無残。今回は最低2回設定タイムを突破した強い選手を期待できる。

 別府終了時で、男子6名、女子3名計9名がMGC出場権を獲得済。3月末までには倍増を期待している。
 だが、課題が残る。それは高温・高湿対策だ。オリンピックの開催は真夏の8月上旬だ。最終選考会が前年9月以降で良いのか。どう対処するか知りたい。

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