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エッセイ・コラム

言志四録(佐藤一斎)に学ぶ(その2)

安藤 英千代

 西郷隆盛が愛読した「言志四録」全1133条の中から私が選んだ、若者に大事にしてほしい10~17条を紹介します。

10.“今ここで”を大事に生きよう

 時間は時々刻々と変わるが、心は『今ここに』据えおくべきである。時機が到来していない事は実現不可能で、過ぎ去ったものを追い求めても手にははいらず、「心の不在」を促進するだけである。

11.才能と度量について

 人は才能があっても度量に欠けていると他者を包容することは出来ない。逆に度量があっても才能に欠けていると物事を成し遂げる事は出来ない。二つ兼ね備える事ができないなら、才能を捨て度量ある人間になるべきだ。

12.志を持って生きよう
  • ①志のある人間は刃物の如き者だから悪者は怖がり近づけない。志のない人間は切れない鈍刀だから、子供にまで馬鹿にされる。
  • ②取るに足りぬ事を考え雑音に惑うのは志が確立していないからだ。一つの志が確立していれば、あらゆる雑念は霧散霧消する。
  • ③志高く明確、力の入れ所は勘所を押え適切で、仕事は精密であるべきだ。更に努力目標はできるだけ遠大なものでありたい。
  • ④口癖のように『忙しい』と人は言うが、その実態は本当に必要な仕事は十人中一人・二人で、残りはあまり役に立たない事に汲々している。志のある者は、こんな「穴」にはまり込んではならない。
13.天から賦与の使命を考えて生きよう

 「天は、なぜ私を世に送出し何をさせようとしているのか。自分は天の所有物だから、天職がある筈だ。この使命を果たさなければ必ず天罰を受ける」と考えると、ぼんやりと生きてはならないと悟るだろう。

14.心の暖かい人になろう

 頭脳は正しく判断ができるよう冷静でありたい。心は人の気持ちが共感できるよう暖かくありたい。胸は人を受け入れられるよう虚心坦懐でありたい。腹は物に動じないよう胆力を充実させたい。

15.爽快な人生を送ろう

 謗れ褒られ、成功・失敗は、人生に付き物の取るに足らないものだ。心からさらりと一掃しよう。そうすれば晴天白日、爽快な人生を獲得できる。

16.自分を恃める人になろう

 一人前の人間は、自分自身の持てる力だけを武器に生きるべき。決して他人の知恵やお金を当てにしたり頼りにしてはならない。驚天動地の大事業も『自分自身を恃める人』が生出すものである。

17.良心に恥じない気持で行動

 事を成す場合、「おろそかにしない気持ち」で取組めば失敗しない。「良心に恥じない気持」で行動すれば人から非難される事はない。

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