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エッセイ・コラム

総選挙雑感Ⅲ―支持政党なし

内田 満夫

 強い不快感を覚えるシーンが、今回も新聞にデカデカと掲載された、衆院選公示を前にした討論会で、8党党首が「仲良く」スクラムを組むあの光景だ。これは国際会議などの場でよく見られる、参加国の要人同士が各国の友好・協調・結束を誇示する演出と同じだ。これから戦おうという彼らが、何のために結束するのだろうか?
 私にはこれが、与野党の政治家が結束して国民に対決する意思表示に見えるのだ。政治信条や政策の異なる彼らが結束するのは、彼ら政治家と一般国民とのあいだで利害の対立する問題についてである。昨今の国会と国会議員の動きを見ていると、揃って怠慢を決め込んでいることがある。議員定数、歳費や支給諸経費、政党助成金など、いわゆる「身を切る」問題が置き去りのままなのだ。有権者は、こんなことを容認して候補者に票を投じたのではないはずだ。こういう問題については、彼らはみごとに団結形になる。
 たとえば政党助成金。大半の国民・有権者はこれに反対ないし批判的である。既存政党でこれに反対し、唯一受領せずに筋を通しているのは共産党だけだ。しかし同党への投票行動をとらない限り、これを黙認してしまうことになる。政策課題ごとに国民投票で民意を問うプロセスは、わが国では確立されていないのだ。
 最近「支持政党なし」なる政党が出現している。「……党」と称してはいないが、れっきとした政治団体だ。この団体の存在についてはもちろん世間に批判があるのだが、16年の参院選では64万票、そして今回の東京比例区では、社民党、日本のこころを上回る12万票を獲得している。政治団体としての政策はなく、議案毎に民意に諮って国会内の議決権を行使することになるという。これによれば政党助成金のように、与野党が結束して国民の血税をむしり取るようなことには反対の意思表示ができる。奇策ではあるが、うまい方法を考えたものだ。

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