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エッセイ・コラム

偶然的に戦争が…?

喜多川 雅人

 小学校時代に戦争を味わった筆者の目には、この一年余りの政治の舵取りがまことに不安定に映っています。靖国参拝、ダボス会議での発言、集団的自衛権・改憲などを巡る急進的動き、etc.
 アホノミクス首相の積極的?な言動が怪しく心を揺さぶるのです。欧米の主な報道も批判的です。日韓もそうですが、特に日中関係が怖い。内閣官房参与さんが「経済を強くすることで軍事力を強化し、中国に対峙する…」などと発言しているようですから、さもありなんです。
 対する中国は空母機動部隊をはじめ、着実に海軍力を強化しており、米海軍筋も、昨今の中国海軍の演習は東シナ海の尖閣諸島を奪取する作戦に備えるものと、観ているようです。
 現在の国際情勢下、日中間で全面的な戦争が起きるとは常識的には考えられませんが、偶発的かつ限定的であれ、尖閣での軍事的接触に発して「戦争」が起きれば、日本は国際的に取り返しのつかない痛手を負うのではないでしょうか。

 振り返れば、百年前に第一次大戦が勃発したのは、偶発的事故が重なった結果であります。
 1914年6月24日午前11時すぎ、オーストリア・ハンガリー帝国の皇太子フランツ・フェルデイナンド夫妻は、オーストリア領サラエボ市街を車で移動していました。運転手が目的地への道を間違え袋小路に入ってしまう。そこに反オーストリア・テロ組織のセルビア人学生がいて、皇太子夫妻を見て持っていた拳銃で同夫妻を殺害。オーストリアは暗殺をとがめてセルビアに侵攻し、ロシアはセルビアを守るため軍を動かした。次いで、ドイツがロシアとフランスに宣戦、多分誰も望まなかったのに大戦にまで展開してしまった。

 突っ張りあいを続けるうち、ある偶然を機に大崩壊が始まる。
 筆者は特定秘密保護法を全面的に否定はしませんが、内閣の右翼的走り方に、直感的に危うさを感じています。
 先の都知事選では、深く歴史や政治、国際情勢などをわきまえないと思われる層が、ソーシャル・メデイアの影響か、衝動的に?反応して田母神候補の大量得票に繋がったともいわれています。
 マスコミは予想もしなかったような感じです。在日中韓人への排外デモ、「アンネの日記」の破り捨て事件の続発……、なにやら不気味ではありませんか?

 ソチでの冬季五輪は華やかに終宴し、四年後は平昌とか。
 古希でスキーを楽しむ筆者は、高齢者が世界的に増える中、“ABOVE 80 OLYMPIC”が創設され、韓国で華麗なシュプールを描こうなどと脳天気に夢見ていますが、どうなることやら……。

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