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エッセイ・コラム 随想

七月に想う

富岡 喜久雄

 梅雨が明けたとは言わぬのに、七月に入ってから猛暑が続いている。電脳もだが人脳のほうの熱中症が気になる季節である。だが誕生月が7月の身には逆に好ましく体の調子がいい。イラクの土漠での乾燥した頬にチリチリと来る熱気や、湿度の高いアジアの南国で高温に慣らされたせいもあろう。
 人生記録でも残そうかとペンクラブに入会したのが昨年6月だから、丁度1年が経ったことになる。会社で言えば長めの試雇が明けたとでもいうところだろうか。これからが本採用かと覚悟を新たにしたところである。想えば、当クラブにはいろいろな活動分野があったが、先ずは「800字で書こう会」に参加して文章修行に励んでみた。 それにしても「何でも書こう会」は楽しい。字数制限内での表現他、文章作法もさることながら、内容に対する会員間の忌憚のない批評、指摘、要求。これらに対する作者の反論、反駁、同調。 加えて周りからの半畳、まぜっかえしが寄席の笑点を思わせて独り、笑いを噛み殺せずに居る。発表者の持ち時間を考慮して月二回の開催になったのでフル出場をと思うが、今度は文章が追いつかない。まだまだ卒業には程遠い。
 入会の目的の人生記録は、完成予定を2012年7月と自己決定したので、余裕はあと1年しかない。焦るし、しかも単なる記録では面白くないから大河小説のスタイルにしようかと思ったりしている。そこで、一度傍聴してみてそのレベルの高さに驚いて逃げ帰った「掌編小説勉強会」に再挑戦してみたいものだ。大河ものでも節を区切れば掌編にもなるではないかとプロマネを説得してみよう。もちろんレベルは論外としてではあるが。
 他の分野では、「英文を読む会」と「時局を語る」に参加してきた。英文については業務上使わざるを得なかったと言うより、海外出張で、機中の無聊を慰めるため空港で買うペ-パ-バックの英文小説を、辞書もないから勝手に想像力を働かせて読む面白さを知ったからである。「時局談義」は「英文読む会」とセットになっているし、自己研鑽の為でもあるが、OBと言えど何か世間に発信できるものがあればとの思いからであった。どちらも参加者の発言の機会がさらに多いと楽しみがいや増すだろうと思う。川柳は言葉遊びが楽しそうだから参加したいのだが、場所が銀座で焼酎飲み揃いときては敬遠するしかなかった。 俳句、写真は全くセンスがないから最初から論外。 短歌について言えば、俳句より内容が詰め込めるから作りやすそうで、ペンクラブにないのが不思議と思うが、これにも異論、反論他なにか理由があるのだろう等々。
 こんなことを、多摩丘陵の頂で緑陰の涼風に吹かれながら想ったのである。

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