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「800字文学館」

年末数え歌

稲宮 健一

 一つとせ、何の拍子か、蝙蝠自生のウイルス、一人の武漢人に紛れ込む。初めての侵入ウイルスに、体驚き無抵抗。増殖に次ぐ増殖、発熱ないうち隣の人に感染す。あれよあれよとネズミ算、武漢から溢れ出て、炎を消せずに燃え広がる。瞬くうちに燃え広がり、地球を覆い尽くす。遠くの宇宙人、地球人はやばいと思ってるよ。

 二つとせ、トランプと習の二強で世界を取り仕切るは本当かね。出たとこ勝負のトランプが我田引水で世界をかき混ぜた。次の四年もそうすると。流石米国考えた。あいつ危ない、協調で世界を動かそう。片や、習は俺の言うこと従わすと、ねじ伏せ戦法どこまで続く。

 三つとせ、早くも令和も三年目、この先のみかどの継承、男少なく寂しいな。遥か昔、女性天皇もご活躍、今でも女性天皇も良いと思うが、お相手の選びが方難しそう。

 四つとせ、四方海、海は皆のものと思いきや、大海を二分し、半分は俺のものとほざくやつがいる。ようやく活魚の美味に目覚め、沖合で取り尽くす気か? サンマの高値はこのせいだ。海の民の一翼を担うなら資源保護の義務果たせ。

 五つとせ、執念の五輪の火、灯るか否か、コロナとのマラソンの競走、ゴールまだ。口角泡を飛ばして招致した。でもね、その泡が飛んではいけないと、泡からコロナ消えるよう、ワクチン解毒と徒競走。

 六つとせ、六方踏む團十郎を見たいもの。海老蔵が脱皮し、襲名の披露もままならぬ。満席の歌舞伎座の口上も、大向うが密だ、密だで叶わぬ今、藤十郎も消え、何とも寂しい令和の歌舞伎。

 七つとせ、無くて七癖、トランプなんか癖だらけ、我が菅さん、補佐で満点、だがね、一国のリーダーに強い癖が必要か。黙っていては誰も付いていかないよ。

 八つとせ、赴くまま、身内第一でかき混ぜた、少し反動でバイデン出現、八面六臂で協調に動くか、新しい秩序に期待したい。

 九つとせ、苦渋の選択、出かけるな、でも金は使え。早く胸を張って大手振るって大判振る舞いしてみたい。

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