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「800字文学館」

テレワーク

児玉 寛嗣

 後輩たちとオンライン呑み会をやった。ずっとテレワークで、ほとんど会社に行ってないという。不自由を感じないかと訊くと、「メールや電話でやり取りし、会議はテレビ会議、このやり方にすっかり慣れた」とのこと。海外顧客相手の仕事をしている職場だ。渡航禁止でメールやオンライン会議アプリでやり取りするしかなく、会社に行くのとあまり変わらないのだろうと思った。

 新型コロナの感染防止対策として通勤ラッシュの緩和を目的にテレワークが奨励され、実施している企業も多いと聞く。オフィスの光熱費や維持費、通勤費用の負担が削減できる。働く者にとっても、会社との往復の通勤時間が省ける。地方に住んでいても仕事が可能である。郷里に帰ってメールやテレビ会議アプリを利用して仕事をしている人もいるようだ。職場で長時間、ダラダラ働くという悪弊が減り、働き方改革が進むという期待もある。

 デメリットもある。顔を突き合わせ、喧々諤々の議論をすることでいろいろなアイディアが出るものだ。テレビ会議でそれが出来るだろうか。きちんとしたアイコンタクトが出来ないし、微妙なボティーランゲージも伝わりにくい。当惑するのは管理者だ。部下と一対一の対話をテレビ会議方式でやるのか。「細かいことは皆で話し合って進めて」という指示もできにくく、細やかな指示が必要になってくる。接触の機会の少ないなかで部下の評価をどうするのかも課題だ。小さな子供がいるためなどで落ちついて仕事が出来ない人もいる。通信回線の十分に整ってない環境にいる人もいるだろう。

 それらを考えると、従来のやり方とのミックスがいいのだろう。家では仕事がやりづらい人だけ出勤、他の人は決まった日だけに共通の仕事をしている部課やグループ別に会社に行くという方法が考えられる。コロナ終息後も継続し、生産性向上、職場のビルやフロアのリース料などの間接費、通勤費の削減などにより企業の競争力アップにつなげて欲しいところだ。

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