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「800字文学館」

耐震脱線防止の着眼点

稲宮 健一

 前回の耐震脱線防止の主旨に引継ぎ、今回その着眼点を述べる。
 首都直下地震の発生確率は三十年間で七十%と公に言われて久しい。平時の首都圏の通勤、通学の乗客は午前八時前後の一時間に一二〇万人が車中にいる。これらの人々の防災措置が必要だ。
 車輪が脱線する条件が確率で求められて、通常は脱線が起きない範囲内の運転が規則で定められ、順守し走行している。しかし、地震によって発生する横から強い力で脱線にいたることがある。普段地震の大きな揺れが発生前に地震警報が発令され、机に下に隠れるなどが防災処置をとるが、電車の場合、高速で走行中に警報を受けても直ぐには止まれない。走行中に地震に襲われる。

 耐震防災としてレールから車輪が外れなければ脱線しない。断層などでレール域が崩落したら手の打ちようがないが、レールが地盤と共に揺れている状態なら対策が打てる。レールを上から眺めて見ると、走行中車輪の内側にあるフランジ(突縁部)が通過する空間には、走行を邪魔する線路域の構築物は一切存在しない。この空間を活用しよう。他の部分はポイント、継ぎ目板、踏み切板など数々の物体が存在する。
 フランジの役割りは曲線走行や、横揺れでも直線走行に円滑に復元させるためのもので、このためフランジ面に傾斜角がある。もし、この傾斜角を垂直にしたら、横から強い力が働いても脱線は防げる。しかし、既存の車輪は本来の機能が失われるため、このように変形することは許されない。

 そこで、レールと接する車輪の位置とは別にフランジ通過領域に垂直なフランジと同じ機能を持つ棒を挿入すれば良い。鉄道では余計なものを取り付けるの嫌う傾向があるので、普段は内部に収納して、地震警報度同時にレールの側面に移動するように制御できる。また、台車は頑丈な構造物で出来ているので、棒をしっかり固定できる。台車の下を三次元で見ると、広い空間があるので、ここを活用して、色々な棒の形状を考案できる。

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