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「800字文学館」

MBSの改革

吉田 眞人

 MBSはサウジアラビアの皇太子兼副首相ムハンマド・ビン・サルマーンの略称である。次期国王とも言われている。MBSは、ポスト石油時代を睨み石油依存から脱却した国作りを目指し、様々な改革を進めている。過去に見聞した事柄に関連した改革を見てみよう。
▽観光ビザ解禁 2019年9月
 今まで、観光ビザによる入国を認めていなかった。これは惜しい。何故ならサウジは買い物天国だったからだ。関税ゼロ、消費税ゼロ(2018年より5%)、従業員の個人所得税ゼロに加え、店の賃料もほぼ無料又は極めて低廉。立派なショッピングセンターで様々な商品が売られているが、なかでも化粧品、装身具、バッグ等の欧米ブランド贅沢品は質・量・価格競争力共に圧巻。
 男性客用売り場は、トーブを着た男性の売り子のみ。男だけのフロアに、女性用商品の山、何とも奇妙な感じであった。
 女性客用売り場の様子は、売り手も買い手も全員アバヤなのか、それとも女性だけなのでアバヤを脱いでカラフルなおしゃれ着なのかは、勿論分からない。
 観光客が増えた時にはどうするのだろうか?
▽女性の運転解禁 2018年6月
 解禁後直ちに十二万人が免許の申請をし、教習所も大人気といわれている。又、その後の一年間でお雇い運転手の数が十万人減ったとの統計もある。女性が自分で運転するので、お払い箱になった訳だ。
 女性ドライバーからは「男性の運転が乱暴だ」との声が寄せられているという。かつて「日本人は運転ルールを守らないので危険だ」という事を聞いた。十字路で右又は左から車が来た場合、お互いが目を見合わせる、最初に目を背けた方が道を譲る、これがルールなのに、目を背けた日本人が突っ込んでくる、とんでもない、という訳だ。一方、日本人側の言い分は、サウジ人は赤信号なのに平気で突っ込んでくる、これでは事故ってしまう、というものである。
 家族以外の女性の目を視てはいけないので、遠からず交通信号遵守にならざるを得ないだろう。

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