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「800字文学館」

ウズベキスタン、キルギス、カザフスタンを行く(2)

斉藤 征雄

 19世紀頃中央アジアはトルキスタンと呼ばれ、東は清が支配、西は帝政ロシアが支配した。こうした歴史的な背景から、中国は東を取り込み新疆ウイグル自治区とする一方、ソ連は西を取り込んだ。以来西トルキスタンは、ソ連の鉄のカーテンの中で社会主義社会として運営されてきた。
 そしてソ連崩壊後の1992年、西トルキスタンは主要民族単位で独立、現在の中央アジア5か国が成立したのである。(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、トルクメニスタン、タジキスタン)

 民族単位とは言ってもそれぞれが複数の民族で構成されているが、キルギスとカザフはモンゴル系で、子供に蒙古斑があるというから日本人にも近い。ウズベキはウイグル系という。
 独立後各国は経済的自立を目指しているが、カザフは石油などの天然資源、ウズベキは綿花などの産業があるものの総じて厳しい現実にあるようだ。いまだ旧ソ連時代のしくみから抜け出ていないようにも感じられた。都市では天然ガスが各戸へ配給されているし、国営工場で成り立っていたある村では工場が倒産して全員失業の憂き目にあったままだという。
 しかも各国とも経済的にロシアとの関係はいまだ深く、政治的、軍事的にもプーチンロシアに多かれ少なかれ強く影響されているとみられる。滞在中に上空をロシア軍の戦闘機の編隊が通過したし、高齢者層では今でもソ連時代を懐かしむ人が多いという。
 ただ都市は清潔で、世界各地に見られるスラムもない。資本主義の成熟度が低いから貧富の差が小さいのだという。
 宗教は7~8割がモスリムである。しかしそれほど厳格ではないようだ。バザールでは牛肉に並んで豚肉が所狭しと積まれていた。

 中央アジアは文字通りアジアである。しかしロシア、中国に挟まれ、そしてインド、中東にも近い。地政学的にみただけでも難しい地域であることが容易に想像される。各国それぞれで活路を見出すのか、大きくまとまるのか。いずれにしてもアジアの一員として平和であってほしい。
 草原の青空トイレを借りながらそう思った。

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