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「800字文学館」

七福神巡り

平尾 富男

 七福神巡りといっても一筋縄ではいかない。というのは日本全国に七福神巡りのルートを標榜する場所が数多あるからだ。
 先ずは日本列島の北から、北野都札幌七福神、函館山七福神巡り、更には利尻島を含む道北を巡る朔北コースがある。本州に渡ると津軽、そして、秋田七福神、羽州山形七福神、出羽七福神八霊場、山形県内を縦断する山形七福神、更には山形県神山氏周辺を巡る上山七福神、寒河江市を中心とした約30㌔コースのサクランボ七福神。車を利用して青葉城周辺を廻るコースの奥州仙台七福神。更にはいわき市縦断のいわき七福神も会津若松市周辺コースの会津七福神もある。
 2017年の新春に友人と廻ったのは「東海七福神」を巡るルートだ。朝早く神奈川県の北西部にある我が家を出て、8時半に京浜急行の大森海岸駅で友人と待ち合わせた。この大森海岸には弁財天が祀られている。
 駅から線路沿いに少し歩くと第一京浜にぶつかる。歩道橋を渡るとすぐ鈴ヶ森刑場跡に出た。17世紀半ばに開設され、明治4年に閉鎖されるまでにまでに10万とも20万ともいわれる人々がここで処刑されたのだ。死刑の方法は様々、磔、串刺し、火炙り、斬首等々残酷極まりなかった。そんな訳で、この辺りでは多種多様な幽霊も目撃されていたと伝えられる。刑場の露と消えた数多の罪人の中でも有名なのは、八百屋お七、平井権八、天一坊等が数えられる。
 鈴ヶ森刑場跡を後にして、福禄寿を祀る諏訪神社でお賽銭を投げ込む。涙橋とも呼ばれる浜川橋を渡り、禅寺の嶺雲寺の次は、途中「竜馬が行く」の標識を横目で見て毘沙門天の品川寺に立ち寄る。すぐ旧東海道の品川宿に出る。そして恵比寿様の荏原神社、一心寺(寿老人)、養願寺(布袋尊)をお参りし、北馬場参道通り商店街を通って7番目の大黒天・品川神社に向かう。ここは徳川家康が関ケ原合戦に出陣する際に先勝祈願をしたと伝えられている。ご利益が期待できる縁起の良い神社なのだ。
 今年の幸運を信じて悪友連と約束している飲み会に向かった。

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