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「800字文学館」

白内障手術を終えて

濱田 優(ゆたか)

 つれづれにネットを散歩していて、「橋本環奈、セーラー服でノーパン始球式」というタイトルを見つけた。彼女は天使すぎると評判のアイドルだ。
 まさかと思いつつ期待してクリックすると、何のことはない、プロ野球の始球式で、彼女の投げたボールがノーバウンドでキャッチャーに届いたという記事。視力が弱り、濁点と半濁点の区別ができなかったのだ。
 それで――という訳ではないが、最近とみに目がかすんで読み書きが不自由になってきた。で、通うのに便利な近場の眼医者で診てもらい、4ケ月前に白内障の手術をした。日帰りで一週間ごとにおこなう左右両眼の手術である。
 幸い手術は成功し、術後の経過も良く、今はパソコンのモニターもハッキリ見え、濁点と半濁点を間違えることもない。
 とはいえ、白内障の手術は人伝に聞いたほど容易なことではなかった。
 手術は正味10分で終わるけれど、前後の処置を含めると3時間掛かる。帰りは片目裸眼で覚束なく、タクシーを呼んでもらった。日帰りは諸事簡便でいいが、手術直後の特に注意を要するときも自己管理が求められる。
 その後も長い間、一日に何回も抗菌・消炎剤の点眼を続ける。さらに洗顔、洗髪、運動も制限され、何度も通院して経過検診を受ける。それが面倒でつい手を抜きたくなるが、感染症防止のために術後のケアは欠かせない、と釘を刺された。
 また、私は学生時代から強い近視で眼鏡を掛けていたけれど、手術をすると遠近の視力がすっかり変わり、これまでの眼鏡は使えなくなる。眼鏡を新調するのは、視力が安定する3ケ月後が望ましいと聞いたが、それまで待てないので1ケ月後にとりあえずの眼鏡を作った。目の不自由なひと月の間は、保護眼鏡の代りに思いついて百均の伊達眼鏡で凌いだ。
 白内障が治ると、読み書きが楽になりQOLが向上する。さらに若返った目をどう活用するか。とりあえず、小さい字が苦手で諦めていたスマホに挑戦してみよう、と今考えている。

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