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「800字文学館」

ポケモンGO 奮闘記

内藤 真理子

 世界中を熱狂させている〝ポケモンGO〟は、本当に我を忘れる程夢中になれるのだろうか? 息子に言ったら、
「無料でダウンロードが出来るからやってみたら」とスマホに入れてくれた。

 試してみると、カーナビのような画面で、自分の位置を示す矢印の代わりに、ポニーテールにショートパンツの女の子がリュックを背負って、私の立ち位置で歩いたり立ち止まったりする。画面の下にボールがある。時々、モンスターが現れるが、どうしていいかわからない。試しに指でスラッシュするもボールはびくともしない。
 ポケモンをしながら電車に乗った。すると何かの拍子に女の子が消えて、画面が実際の景色になった。画面下にボールだけある。電車の中が映っている。やり方が解らないまま闇雲にボールをスラッシュした。ボールは転がって景色の上を横切り消えていく。そして「ボールがありません」の表示。その後《ショップ》というのが現れた。ボールを買えというのだろうか? お金を使ってまでゲームをやりたくない。

 息子が来るのを待って、ボールの増やし方を教わった。
 画面上の青い印の所まで実際に歩いて行って、画面を指でスラッシュするとボールが出てくる。それが、三個、四個……と時によって違う。
 以来、歩くのが楽しくてたまらない。青い印を見つけてはボールを増やす。買物帰りの重い荷物を持っているのも感じない程、夢中になっている。まるで夢遊病者のように手に持ったスマホに完全に操られている。
 だが目標があるのに途中で止められない。印を求めて歩き続けたらボールが出なくなった。目いっぱい集めてしまったのだ。

 ではボールを使うにはどうすればいいのだ? 新たな疑問に、ひたすら息子を待ち会得した。ポケモンが現れたら指でタッチすると、画面が実際の景色に変わるのでポケモンめがけてボールを投げる。見事命中すると「やったー」の字が出て自分の図鑑に様々な種類のポケモンが収集される。
 う~ん、我を忘れる程夢中になった!

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