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「800字文学館」

祖先はアフリカからやってきた

稲宮 健一

 我々の遠いい祖先は総てアフリカからやってきた。国立科学博物館の篠田謙一博士のDNAから見た日本人起源の講演による。漠然と、人類はアフリカから全世界に広がったと聞いていた。なぜか。講演の冒頭で、10万年より古いホモ・サピエンスの化石はアフリカか、中東からしか出土しない。聞いてみれば、理由は簡単だ、古い地層を探求し、DNAの分析で新しい知見が得られのだ。

 アフリカの猿人は700から200万年前まで生存し、この間に二足歩行を達成した。そこから他の大陸に渡り、北京原人や、ジャワ原人に繋がり20万年前まで生存していた。ホモ・サピエンスは50万年前、ネアンデルタール、デニソワ人と分かれ、アフリカに留まり、7から6万年前アフリカから出て、全世界に拡散した。ネアンデルタール人はヨーロッパと西アジヤに広まり、20万年前から4万年前まで生存し、ホモ・サピエンスと共存した期間があった。我々のゲノムに約2%その混血の痕跡が残っている。以前はこの混血は否定されていた。

 日本人に注目すると、7万年前にアフリカから出た新人は4万から2万5千年程でアジヤに到達、旧石器時代から縄文時代にかけ、原日本人が住み始め、5千年前に中国南部稲作文化が起き、3千前に弥生人と共に日本に伝わった。縄文人と弥生人では姿態が異なっている。本土の中でも、地域によって異なる。アルコール分解酵素の遺伝子を持つ酒の強い人と、持たない弱い人の分布に特徴がある。前者は九州南部と東北地方、関東と九州北部と四国はまだら、後者は西、中部日本である。この遺伝子の特徴は中国人、朝鮮人にもいるが、欧米人にはこの型はいない。

 地層を探り、化石を採取する、現在ではDNA分析で化石間の関係と現代人との関係が解明できる。地味な活動であるが、遥か過去の起源が明らかになる。宇宙では生命の起源を探るのが目標の一つだ。え!そうだったのというサプライズがこれからも期待できる。

(二〇一五・十一・五)

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