作品の閲覧

「800字文学館」

アンテナショップ巡り

清水 勝

 今年の夏は暑い。流石の我ら街道歩き仲間も、「八月は休もう」との声が出た。
「だからといって、家に居てもなあ」
「何か街道歩きに代わるアイデアはないかな」
 そこで登場したのが『ふるさとアンテナショップ巡り』であった。日本橋から新橋までの間に三十道府県の店がある。街道同様にゆっくりと、思い出の街々の名所、名産を語り合いながら訪ねることにした。
 三越前に十時半集合!少し早目に着いたところ、大勢の人がいるではないか。エェ?我らと同じ発想の人がこんなにもいるのかと思ったが、そうではなかった。八月に限り三越の開店は十時半だそうだ。
 その三越の近辺には、『ふくしま館』『島根館』『ブリッジにいがた』『奈良まほろば館』。そして高島屋の向かいの日本橋プラザビルには『おいでませ山口館』『富士の国やまなし館』、さらに『ふるさと情報コーナー』があった。ここには、日本全国の市町村別の観光案内パンフレットが揃っていて、自由に頂ける。
 東京駅八重洲口の真ん前には『京都館』。さすが観光京都だ。広い!雅な雰囲気を漂わせている。有楽町駅京橋口の直ぐ前には『北海道どさんこプラザ』があった。大変な混みようで、北海道の生鮮食品がドンドン売れている。この東京交通会館にはまとまって十府県の店が入っていた。
 アンテナショップ巡りで気づいたのは、各店が工夫を凝らし、お得なクーポン券があることだ。例えば『広島ブランドショップ』では格安の商品券が手に入る(一万九千冊限り)。これで館内の買い物やお食事処で使えるのだ。この近辺はビジネス街だけに単に名産品を売るだけではなく、郷土料理店を併設しているところが多い。
 いろいろと廻っていると、ついつい買ってしまう。とりわけ酒の肴には手が出る。じゃこ天、黒はんぺん、貝の佃煮等々。土産にと三石羊羹、ゆべし、京菓子。それにお酒は『尾瀬の雫』を購入した。
 懐かしい、楽しい、美味しい。そんな街道歩きだった。

作品の一覧へ戻る

作品の閲覧