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「800字文学館」

将棋会館で将棋を習う

都甲 昌利

 東京・千駄ヶ谷の将棋会館に通い将棋を習っている。自宅からバスで15分ほどなので、楽しみとボケ防止に6月から始めた。
 将棋は小学校5年生の頃、父に教えて貰ったのが最初である。たちまちその魅力にはまり、下校するや否や近所の友達と毎日のように将棋を指した。飛車・角落ちだが父にも勝てるようになった。しかし、成長するにしたがって、受験や環境の変化で友人達とも疎遠になり、将棋を指すこともなくなっていった。
 それでも将棋に全く縁が無かった訳ではない。
 1992年秋、読売新聞社主催の「竜王戦」がロンドンのわが職場モントカーム・ホテルを舞台に谷川浩司竜王と羽生善治王座を迎え盛大に行われた。往年の熱い気持ちが甦り素晴らしい思い出になったが、帰国後も将棋を指すことはなかった。
 そんな私が将棋会館を訪ねた。2階に一般の将棋愛好家が50人位は入れる対局室がある。対局用の盤と駒が机の上に置かれ、椅子に座って対局するようになっている。受付でシニア料金800円を支払い、用紙に名前と段・級を書き入れるのだが、最初は誰でも15級から始める。同級者か上級者に3勝すると1級上がる。5級者と対戦するときは飛車・角落ちというハンディを付けてくれる。同級者は平手対戦だ。始める前には「お願いします」、終局で負けた時「負けました。有難うございました」と一礼するのが礼儀だ。
 5級の女子小学生と飛車・角落ちで対戦したが見事にやられた。彼女は将来プロ棋士になりたいと言っていた。
 羽生善治棋聖を輩出した八王子道場から来たという中年男性は八王子では2級の腕前だが、ここでは5級と認定された。将棋連盟の認定は厳しい。
 会館に通う度にサービス券を呉れる。何枚かたまるとプロ棋士の指導が受けられるシステムである。
 建物の3、4階はプロ棋士の対局室で名人戦、竜王戦、棋聖戦などが行われる場所だが見学はできない。
 私は現在13級だ。先ずはシングルを目指している。

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