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「800字文学館」

徒歩で巡る『観音霊場』

清水 勝

 ゴルフはグリーン上のホールという目標があるからこそ、多少の起伏があっても十キロ程の距離を平気で歩いています。ゴルフを止めると歩く機会が無くなるようですが、大丈夫です。目標を作ればいいのですから…。
 我々は旧街道歩きをしていますが、最近は観音巡りもしております。年寄りっぽい感じもしますが、グリーンに変わっての観音様もいいもんです。お寺の由緒を調べたり、近辺の様子を探ったりしながら、心穏やかに歩いています。
 既に秩父三十四観音巡り(行程一〇〇キロ)、鎌倉三十三観音巡り(二十二キロ)、狭山三十三観音巡り(三十八キロ)を終え、現在は武蔵野三十三観音巡り(九十一キロ)をしています。
 観音巡りで歩いているとこんな気持ちのいいこともあるのです。飯能駅から二十三番浄心寺、二十四番観音寺をお参りして、二十五番円泉寺を訪ねる途中で精明小学校から下校する児童の皆さんと行き逢いました。するとどうでしょう、出会う児童の皆さんから「こんにちは!」と元気な声を掛けてくれるのです。それも一人や二人ではなく、出会うたびに、どの児童からも「こんにちは!」の声です。
 思わず、我々も「こんにちは!」とお返しをしましたが、同時に精明小学校の皆さんの元気な声と、挨拶する習慣の快さに凄く感動し、感激しました。円泉寺に着くと、観音様にお礼と精明小学校の皆さんの健やかな成長を、心を込めてお祈りしました。
 さらにその帰り道では、運動具を持って自転車に乗っている児童の方から我々を追い越す際に、少しスピードを緩めて「こんにちは!」と声を掛けてくれました。思わず「こんにちは!」「頑張れよ!」とお返ししました。
 子どものしつけには難しいこともありますが、人に出会えば挨拶をするという素直な反応は、本当に心地のいいものでした。児童の皆さんの今後の成長が楽しみであり、大いに期待したいと思いながら、清らかな気持ちで観音巡りを続けています。

2015.1.8

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