作品の閲覧

「800字文学館」

老ゴルファーのおせっかい

川村 邦生

 最近の若い人達はエチケットを知らないとか、昔はこうだったと、年配者が言うと、おせっかい者といやがられる。
 ゴルフ場で目につくのはルール無視とマナーの悪い人が多いことである。バブル期に開場したゴルフ場の多くが客集めの方法として、平日は勿論土曜日、日曜日でさえ一万円以下で食事付きのパック料金を設け、誰でも簡単にプレーが出来るように営業している。そうせざるを得ない経営状況は理解できるが、ボールがまともに当たらない、ルールを知らない、マナー無視の初心者でも歓迎するのは問題だ。
 ゴルフを始める人は、ボールをきちんと打てるようになるまで練習場に通うべきで、コースには出るべきでない。ボールがまともに当たらない人は、進行を極端に遅くするだけでなく打ったボールで他人を傷つけることがある。隣ホールにいた人にボールを当てたプレーヤーに罰金二百万円の地裁判決が出た。また斜め前にいた仲間の頭に当ててしまい死亡事故を起こしたケースもある。あの固いボールが体に当たることを想像すると恐ろしくなる。
 打つ事は練習し上達するだろう。しかしルールやマナーは読むなり、教わるしか方法はない。それを学ばない自己中心のプレーヤーが非常に目に付く。そのような人は、前の組への打込み事故を起こしたり、マナー違反で周りからひんしゅくをかう。
 ゴルフが紳士のスポーツといわれるのは、自分自身が審判で神のみが見ている状況下、ルール、マナーを守りプレーするということが所以だ。それを知らないでは、紳士のスポーツをプレーするべきではない。
 きちんとルールやマナーを教えるのが年配の経験者、おせっかい者の役割であり責任でもある。

 最近ゴルフだけでなく社会一般にその風潮すなわち、ルール違反、マナー無視が蔓延している。多数の人が生活していく中で、ルール厳守とマナー尊重が重要だ。自己中心者をおせっかい者が、少し教育しないといけないのではないだろうか。

作品の一覧へ戻る

作品の閲覧