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「800字文学館」

なぜゴルフコースは18ホールなのか

都甲 昌利

 スコットランドで退屈しのぎに、牧童がモグラの穴に棒で石ころを入れて作業をしていたのがゴルフの始まりとされる。15世紀のことである。

 そもそもゴルフというスポーツは不思議なスポーツだ。数が少ないほど好成績というのは他のスポーツにあるだろうか。スコットランド人はケチだからこういうスポーツを考えたのだと、イングランド人は皮肉を言う。それに審判員もいない。タバコを吸いながらプレイするプロゴルファーもいるくらいだ。だから、スポーツではいと言う人がいる。では、何か。娯楽だ。でも、娯楽にしては奥が深すぎる。

 ゴルフには長い歴史と伝統がある。その辺のことが分からないと18ホールになった理由が分からない。
 ゴルフ発祥の地とされるスコットランド・エジンバラにあるセントアンドリュース・オールドコースのレイアウトを見てみよう。クラブハウスから海に向かって細長い帯状になっている。その突端はイーデン川に達する。昔は18ホールではなく22ホールあった。ゴルファー達は22ホール終わると、とぼとぼと歩いてクラブハウスに帰った。どうせ歩いて戻るならボールを打ちながら戻ったらどうか、というアイデアが出た。如何にもスコットランド人らしい。
 22ホールでは長すぎるし、また4ホール分の土地を他の目的に転用するため、最後の4ホールを切り18ホールとし、往きと帰りに9ホールに分けた。1764年のことである。先端部分の9番のグリーンと10番ティーグラウンドが並んでいる。この時から、1番から9番までをゴーイング・アウト、10番から18番までをカミング・インと言うようになった。俗にアウトコース、インコースという。これが定説だとされている。
 俗説としては、ウイスキーの好きなスコットランド人が持ち運ぶポケットびんが空になったところが18ホール目のホールアウトでこれが18ホールになったという。

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