作品の閲覧

「800字文学館」

無知、傲慢、裏切りのアメリカ

大泉 潤

オリバー・ストーンが語るもう一つのアメリカ史「帝国の緩やかな黄昏」より

 歴代のアメリカ大統領の挙動を知ると歴史が理解できる。
 レーガン大統領は、想像を絶する知的レベルだった。居眠りを常とし、ゴルバチョフとの交渉のテーブルに臨んでは、提案に驚き、違ったカードを読み上げた。アメリカがラテンアメリカの自由の闘士と讃えた各国の反乱軍は、暴虐の限りを尽くしていた。国内政策では、内政費は30%減、国防費は52%増とした。
 ブッシュ大統領は、勘違いとミスが多い。911テロでは、原因の追究をせず、糊塗するよう指示した。ネオコンにはこのテロは防衛計画の作成に絶好の機会で、大統領は法律上の制約が無く何でもできると改め、NSA(国家安全保障局)、FISA(外国諜報活動偵察法)等を制定し、令状無しの盗聴、盗み見を可能とし、捕虜には筆舌を越える虐待を行った。国連安保理査察では、イラク兵器開発を支援した米企業24社の資料8千ページを事前に削除した。03年2月のパウエル国務長官の75分間の国連演説は札付きの嘘つきからの情報に基づいていた。マスコミには、軍事企業に雇用されている退役将軍に出演料を支払い登場させ、戦争の旗を振らせた。又富裕層を優遇し、格差は拡大し、国家債務は10兆$以上となった。
 オバマ大統領は事態を一層悪化させた。定見が無く、臆病で感情が乏しく、秘密主義で透明性がない。既成権力組織のインサイダーを顧問に取り立て、ウォール街、国防産業、製薬業界から資金提供を受けた。格差が拡大し、上位1%が富の40%を所有している。今や米は世界を操る力を失った。無人機の爆撃は無辜の民間人の死亡を増大させている。中東、中南米の反米主義、中国の伸長、アジアの緊張、欧州経済など課題山積である。
 ソ連大統領のゴルバチョフは、民主主義の復権、生活水準の向上を目指した。米にはトップ会談を通じて軍拡競争の終わりを提案した。米は即答できず、SDIのごとくさらなる軍拡で答え、またNATOの東方拡大の裏切りを行った。米ロ指導者の差は大きい。
 日本が親しく、理解しあえると思っている米国は、自由、平等、平和の理念を失い、内部告発を受けている。難しい問題だ。

作品の一覧へ戻る

作品の閲覧