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「800字文学館」

夫源病の解消を『天草更紗』に求めて

清水 勝

 最近、『夫源病』という病気が注目されているようです。それは夫の言葉や行動に対する不平や不満がストレスになる主婦特有の病気だそうです。原因は夫にあるとのことで、その解消に向けて我が夫婦は年に二、三度旅行しております。
 先日、家内の強い要望で天草へ行ってきました。その目的は天草更紗を見ることなのです。それというのも家内は和の洋服づくりが趣味で、和服の古着の一部を活用してブラウスやベストを創っています。
 更紗は高級染織品として16世紀に南蛮船によって輸入されていたもので、江戸時代には天草でも染められ天草更紗と呼ばれていました。しかし、明治初期にその技術は途絶えてしまっています。
 事前に調べたところでは天草に唯一『野のや』という店があることが判りました。天草の本渡にあるはずなのですが探し当てられません。中村いすずさんという個人の家の所為か近くまで行っても看板もないのです。やむなく観光協会を訪ね、高級ホテル『五足のくつ』の売店に中村いすずさんの作品が置いてあることが判りました。それ急げと天草の島を横断して天草下田に辿り着きました。
 お店の方から、中村さんは岐阜出身の方で天草更紗に魅せられてその技法を学んで染めておられる方だと聞きましたが、今日は親戚にご不幸があって岐阜に行っておられるそうです。作品は小物が中心で家内はこれには満足せず、ホンモノを見たいと言い出しました。それを聞いていたご主人がお電話をされて、『天草ロザリオ館』の倉庫に昔のものがあると教えて頂きました。
 すぐさまそちらに向かい、館長に倉庫を案内いただき特別に見せて頂きました。長持ちに入っており、座布団カバーや布団カバーが天草更紗で出来ておりました。近くの農家からの預かり物だそうです。家内は大興奮で、写真を撮らせていただいておりました。
 私の目から見れば、単に古めかしい生地にしか見えませんが、このお蔭で暫くは夫源病も解消したようです。

参考《夫源病のチェックリスト》
  • 人前では愛想がいいが家では不機嫌
  • 妻の予定や行動をいちいちチェックする
  • 常に「上から目線」で話をする
  • 仕事関係以外の交友や趣味が無い
  • 家事に手を出さないが口は出す
  • 妻が一人で外出するのを嫌がる
  • 妻や子どもを養ってきたという自負が強い
  • 家事の手伝いや子育てを自慢する自称“いい夫”
  • 「ありがとう」「ごめんなさい」のセリフはほとんどない
  • 車の運転をすると性格が一変する
【診断】
  • 4つ以下…大丈夫
  • 5~7つ…夫源病予備軍
  • 8つ以上…明らかに夫源病

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