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「800字文学館」

政治家の通信簿

稲宮 健一

 お役所の通信簿に続いて、政治家の通信簿を考えてみた。両者とも国のために働いていることに変わりがないが、前者は公務員試験を通じて採用され、一生の仕事として勤務するのに対して、後者は選挙で選ばれるが、落選すればただの人になる。

 政治家として、長きに渡って活躍しようとすると、常に選挙で勝つことが必須の条件になる。国政を担う選挙では、大都市の選挙区では選挙区の利便性を謳って選挙活動する候補は少ないが、地方の選挙区では、身近な利便性の向上を訴える傾向が強い。近視眼的な展望しか持たない議員が誕生する。

 ここで、前回提案したPDCAサイクルのことを当てはめよう。選挙時に一見魅力的なP(計画)をスローガンにして、当選後D(実行)をする、しかし、Dに関わる人達に短期的な恩恵があるものの、長期的には見込み違いや、無駄が多く、無責任な結果が借金の山につながる傾向がある。そこで、PDCAを文書で記載し情報公開してもらいたい。特にPでは、党の方針とかあいまいにせず、推進した議員の個人名を明記して欲しい。国レベルの大きな政策であるから見込み違いがあるだろう、しかし、Cでは直接利害に絡まない人が正直に評価してもらいたい。公約は選挙毎にご破算としたくない。

 視野が狭い政策を阻止するため、選挙民は拒否権を持てないだろうか。例えば、普通の選挙は現状の通りとして、選挙民は合わせて拒否権も持つ。この権利は全候補者に投票できる。票の重さは、普通の選挙権の1/10とか、少なく設定して、この票が通常の票を上回ったとき、当選は無効にするのは如何だろうか。

 実行不可能なことをわきまえず、外国と交渉して、失策した議員とか、古くは三本の本四架橋の議員には拒否権を使いたい。同じ三本でも、全国的な視野で、本四架橋を一本にして、後は紀伊半島と徳島、愛媛と大分にしておけば、何かの時の危険分散に役立つと思う。政治家には広い視野を持ってもらいたい。

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