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「800字文学館」

オリンピック聖火リレー

都甲 昌利

 いよいよ、今月27日ロンドンでオリンピックが始まる。開催期間に欠かせないのは聖火だ。発祥の地、ギリシャのオリンピアで採火された聖火は,英国航空の特別機「The Firefly」でロンドンに運ばれ、英国各地を聖火ランナーによりリレーされていると外電は伝えている。そして最終走者は誰になるのか関心が集まっている。

 48年前、東京オリンピックが開催された時、ギリシャから聖火を空輸したのは日本航空であった。使用機は「The City of Tokyo」号のプロペラ機。アテネから地中海を渡り広大な中東を経て、アラビア海、ベンガル湾、更に東シナ海と“火”は飛び続けた。
 マニラまで順調であったが、次の訪問地、香港で大型台風17号に遭遇した。風速35メートルの強風で補助翼が破損し飛べなくなった。空港当局に格納庫に入れてほしいと頼んだが、英国航空機が入っているのでという理由で拒否された。当時の香港は英国がすべて支配していた。日本から技術者や整備員が派遣され修理をして一日遅れて台北に到着した。

 次の日は日本の沖縄。アテネを出発してから、11ヶ国、19,600キロを燃え続けた聖火は9月7日沖縄に到着、初めて日本人の手に渡った。太田主席らが出迎えた。日本人第一走者は沖縄戦遺児、宮城勇君(当時22)だった。

 沖縄からは国産機のYS-11[聖火号]が鹿児島に空輸、多くの聖火ランナーによって日本各地を回り、最終ランナーは原爆投下の火に広島で生まれた早大生の坂井義則君(当時19)が選ばれた。開催日、彼によって、国立競技場オリンピック・スタヂアムの聖火台に点火されたのであった。

 オリンピックが終了した後、関係者から聖火が二度消えたという噂が流れた。レバノンでは、トーチの火は6分が限度で次の走者に引き継げなかった。更にクアラルンプールで強風と雨で消えたというのだ。
 ロンドン・オリンピックでは絶対に消えないハイテク・トーチを開発したという。最終点火者は誰になるのか。ウイリアム王子という声もある。

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