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「800字文学館」

短歌を捻る

中村 晃也

 俳句は詩形の短さや季語の制約ゆえに表現内容に限界があるが、短歌は、起承転結と、読み人の心情を詠うには詩形に十分な長さがあるといわれる。 歌人の河野裕子は、亡くなる直前まで短歌を詠み続けて話題になったが、その河野の作品にこんな歌がある。
「吾が生にさんすうの時間はもうあらず三角定規で線引くことも」
私も触発されて学生時代を思い出しこんな歌(狂歌?)を作ってみた。
*数学に関して
サイン二乗足すコサイン二乗は一になる覚えているが何につかうの?
二乗してマイナス一になる数よi(アイ愛)の二乗がマイナスなんて
ソロバンは算盤と書く難しさ使い方ばかりか読み方までも
*国語については
書けなくても読めさえすれば十分だ漢字は携帯に教わればよい
あきはばらかあきばはらか今はただAKBと書けば十分
*外国語では
明快なオバマの演説理解するも英語の漫画の意味は判らず
ドイツ語の亀の子文字を覚えたがドイツに行って不思議がられる
月落ち烏啼く寒山寺中国人も知らない漢詩
*理科
要らないと思って捨てた蝦蟇の足いると判って探すゴミ箱(生物・解剖)
満潮は月の力というけれど地球の裏も満潮になるぞ(天文)
ビッグバンは宇宙の始まりその前はどうなってたか誰も語らず
*社会
少子化が叫ばれているが結婚難社会の窓は開け放しに
*図画
三原色全部足しても白くならずただ画用紙が黒くなるのみ
*体育
逆上がり何度やってもあがらぬ足鮟鱇のごとただぶら下がる
徒競走一周遅れで追いつかれ抜かないトップに感謝あるのみ
*その他
勉強せよといわれてこもる勉強部屋一時間ほど鉛筆削る
難しい問題のたびころがした鉛筆はなく今はシャーペン
*おわりに
何書いてもよいと言われた八百字こんな中身でチョット恥ずかし(完)

十二年 六月

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