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「800字文学館」

原発はご免だ

古川 さちお

 多くの人が「原子力発電所は作るのも輸出するのも止めよう」とうったえて様々な運動を行なっている。にもかかわらず、日本政府や一部企業は、その反対方向に走っている。
 あまり知られていないが、隣国韓国でも既に十九基の原発を稼動しているのに、さらに日本海側に数基こしらえようとしているようだ。北朝鮮は関係国の猛反対に反発して、核開発に熱心だ。
 広島、長崎の原爆投下は六十六年前だが、スリーマイル島、チェルノブイリの原発事故に続いて、最近の福島第一原発事故の恐怖は、つい九ヶ月前に過ぎない。しかもその事故処理はまだ終わっていないし、われわれ首都圏住民も放射能汚染の危険におびやかされている。
 一体、国や企業の責任者たちは何を考えて原発推進に走ろうとしているのか。わたしには分からない。
 最近のニュースによると、原発推進国のフランスでも、あのうるさい団体グリーンピースが原発のサイトに突入して反対運動をしようとしているようだ。危険きわまりないことだ。
 周知のとおり原発に使用する核燃料は、使った後もその処理が大変だ。いつまでも放射能が消えないので、廃棄場所に困る。種類によっては、放射能が消滅するまで十万年もかかるし、早くても数十年は放射能を帯びたままという。
 そのような危険物を廃棄するのに、分厚い鉛やコンクリートの箱に封じ込んでしまうのだろうが、その箱を地中深くに埋めても何十年、何百年と経過するうちには、放射能漏れが発生して地下水を汚染するかも知れない。海中に投棄しても、何百年何千年と経つうちには何らかの理由で海水を汚染してしまうことだろう。
 長期間の放射能漏れがあれば、地域だけの問題ではすまない。ことは人類全体の存否にかかわることである。

 われわれは、自身のため子孫のために、この困難に立ち向かう必要がある。「それは、遥かな将来の問題で、わたしには関係ない」などと言える人がいるだろうか。いないだろう。
 ともかく、原発は無くさねばならない。

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