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「800字文学館」 日常生活雑感

「何でも書こう会」見学印象記

池田 隆

 企業ОBペンクラブの新入会員として、まず最初に「何でも書こう会」を見学をさせて頂いた。大勢の中に一人で仲間入りするのは七十歳になっても心が引締まり、中学時代の転校初日を思い出した。その緊張感もOさんとNさんの友人二人が私を皆さまに紹介して下さり、直ぐに本会の暖かい雰囲気のなかで消滅した。
 当初は四時間の予定に脅威を覚えたが、お一人おひとりの歯切れのよいエッセイ朗読、周りからの鋭くも節度あるコメントやトークに時間を忘れ、各位の感受性や表現力に感心し、博覧強記に敬服していた。ただSさんのエッセイに出て来た「同行二人(どうぎょうににん)」なる語句を他の多くの方がよくご存じなかったのは意外であった。
 四国に限らず京都や奈良ならば市井の誰もが日頃より「同行二人」と書かれた遍路笠を目にしている。「弘法さんや観音様のようにありたい、あるべきと思う本来の自分と日常の自分が一緒に歩むのだ」という趣旨も多くの人が知っている。現役時代に外国で活躍された方や関東在住の方が本会には多く、外国文学や西欧思想、海外事情の造詣は深いが、日本文化やその根底となる仏教思想などには馴染みが薄いのかなと思ってしまった。
 先日、米露の大統領同士がビンラディンの殺害を喜び合っていたが、私はこれに非常な違和感を感じた。日本人の心の奥底には多神教あるいは仏教的思想として自然や他人、他民族、他宗教に対する寛容と共生の気持ちが受継がれている。世界の人々が震災被害者達の穏やかな表情の映像を見て驚嘆していたという。これからは日本人の一人ひとりが堂々と世界に向って、「復讐からは平和は生まれない」などと日本古来のこころを発信していきたいものである。私も本会を通してかかる役割の一端でも担えれば嬉しい。

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