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「800字文学館」 シネマ・サロン

フォーエヴァー・モンロー

平尾 富男

 今年、来年と続けてモンローを主人公にした2本の映画が公開される。

 先ずは、モンローがイギリスで過ごした一週間を扱った映画 “My Week with Marilyn”。既に昨年末にクランク・インしている。モンローを演じるのは、余り日本で馴染みがない1980年生まれのミッシェル・ウィリアムス。1957年製作の映画『王子と踊子』で、当時31歳のモンローがローレンス・オリヴィエと共演するために英国に滞在した一週間を描いた内容らしい。今春には日本公開となる。
 もう一本は、『ブロンド(“Bronde”)』の仮題が付いたモンローの伝記映画である。ロドリゴ・マルケス監督・脚本の最新作、映画『愛する人』に主演した女優ナオミ・ワッツのモンロー役出演が決定され、来年公開される。
 40歳を過ぎたワッツが、永遠のセックス・シンボルのまま大勢の人に惜しまれ36歳の若さで逝ったモンローを演じる。『愛する人』で実際に妊娠中の大きなお腹を曝していたワッツのイメージは、妖艶なモンローには重ならないが、ワッツのモンロー・ウォークも楽しみだ。
 実年齢31歳と43歳の2人の女優がモンロー役で競演することになる。

 そんなことを考えていたら、2月12日付け朝日新聞の見開き全面広告で、マリリン・モンローの大写し顔写真が掲載されて度肝を抜かれた。
 写真の右横には、Happy Birthdayと小さくコピーの文字が添えられている。
 写真の下には、遠慮がちに「新しく、生まれ変わる」の文字が見える。その右端には、広告主である会社名「朝日プリンテック」がある。親会社が発行する新聞の印刷を行う子会社の何らかの記念広告なのだろう。
 モンローは生前深い関係にあったケネディ大統領の誕生日に、“Happy Birthday, Mr. President”を唄った。ここまで深読みすれば、この広告の意味が理解できる。

 26歳の時のモンローが、日本有数の日刊紙の見開きで、多くの日本人に向かって微笑んだ。モンローを描く映画の公開前に、「フォーエヴァー・モンロー」の感を抱いたのは熱烈なモンロー・ファンだけではあるまい。

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